Sunday, June 24, 2012

台北:何事も神頼み - 文昌宮の祈願札

小さいときから我が家には神棚はありませんでした。父親の考えだったのでしょうか。医者だった父は自分の診断以外に頼る方法がなかったからでしょうか。
我が家に神棚がすえられたのはそれから四十年あと、千葉の片田舎の農家に引っ越したあと。古農家ですからちゃんと神棚が用意されていました。部落のバッチャンがやってきては神棚が殺風景だね、と一言いっては消えていきます。
部落には神社があり、年に一度の初詣に出かけます。冬の農村地帯、息が真っ白になります。東京からやってきた娘ともども拍手を打ちます。終えて鳥居に出口で部落の男衆から杯を受け、お札と神矢としめ縄をもって帰ります。ちゃんと飾る場所がありますから不自由はしません。それに和紙と稲と白木は和小屋の室内によく合う。室内装飾としてもいいんです。そんな具合ですから信心で飾ったわけではありません。
台湾はちゃんと信心しているようです。商売で信心、家内安泰で信心、健康で信心そして多くのお願い事を廟詣でしてきます。日ごろ訪れる青空市場には文昌宮というそこそこ立派な廟があります。路地に、公園に直接面しいることもあり、通勤通学の帰路の際、一瞬足を止めて手を合せ拝んでいきます。若い連中はおじいちゃん、両親の姿を見て育ったからでしょうか、真剣そのもので向かい合っています。
昨日は参拝客が少なかった。端午節だったからでしょうか。久しぶりに石段を上がります。正廟の柱に願掛けの木札が無数に掛けられていました。一寸目をやると、受験シーズンですね、無事試験が通りますようにの文面が多かった。私はというと、そう傍観者、異国の傍観者です。

Saturday, June 23, 2012

台北:路上の高手 - 裾上げ

今日は端午節、休日です。といっても土曜日ですので多くの民間企業はお休み。休日ですのでいつもの素食屋さんもお休み。
食材を買いに出かけます。勿論いつもの青空市場。ただ一寸閑散とした風景です。みな家族で出かけているのでしょうか。それでもやはり飽きない風景が繰り広げられています。
いつもは見かけない仕事ぶりを見つけました。ズボンの裾上げ。小さな作業台の上にはこれもまた小さな電動ミシン。使い込まれています。どのぐらいつかっているんですかいなと問うとオニーサン、にこっと笑って十年と答えてくれました。手入れが行き届いています。金属部分がいぶし銀のように輝いています。それに仕事が速い。右側、左側、さっと片付け次のズボンに手が届きます。
どういう人が注文するんでしょうか、お客さんの姿はありませんでした。脇にズボンがうず高く積まれていました。きっと洋服の専門店なども頼むんでしょ。ひたむきに仕事する姿を見てうれしくなってしまいました。
あっと、タイトルにある「高手」はプロ 手練(てだれ) っていう意味です。

Friday, June 22, 2012

三芝:台湾歴史建築シリーズの切り紙絵葉書

友人が土地を見て欲しいと淡水の先にある三芝を訪れた。台湾最北端に近いこの土地、驚いたことにマンションが林立している。しかし友の話では、夜は真っ暗、人気のない幽霊建築だそうだ。開発ブームに沸いた二十年近く前のこと、開発会社は猫も杓子もと工事を始めた。しかしそれもつかの間、経済は坂道を下り始める。マンションを購入した人は、週末に部屋の様子を見にやってくる程度で、永住している姿はほとんど拝めないとの事。

ある大きな一角に販売用の大きな看板が立てられていた。どこかで見たマンション名だ。そう、最近テレビで広告を打っているマンションだ。友人曰く、以前売りに出したものの、売れ残り物件だったのを、名前を変えて再度売りに出したんだそうだ。いくらなんだろうか。

彼はマンションを購入するつもりはない。なだらかな丘が続く農村地帯を選ぼうとしていた。空気よし、緑多し、車少なし、地元で仕事をするなり、隠居生活をするなら格別にすばらしい。しかし友たちは彼に耳打ちするそうだ。「風が強いぞ」「雨が多いんだよなこの辺は」「車なんてすぐ錆び付くしさ」。

三芝には元総統・李登輝氏の生家がある。家は残されているものの、そのことを記した表示は見つけられなかった。ひっそりと残されていた。それでも観光客が訪れるのだろう、前庭の立派な榕樹の下では土地の作物を並べて売っていた。友は上さんへの手土産にと何がしかの野菜を購入していた。安い、台北の三分の一以下の価格である。生活し易すそうである。元総統の生家の前に文化中心舘が建てられている。三芝から輩出した四人のたちの業績を展示していた。

ホール脇に売店があった。そこには台湾の歴史建築シリーズの切り紙絵葉書を置いていた。B6版の大きな絵葉書である。売店のご主人、親切にも「カッターナイフは使わないでね、怪我するからね、鋏使ってよ」と助言してくれた。

台北:裏通りの道路標識

車だらけの台北です。そこで考えたのでしょう、表通りの左折禁止(こちらは車は右側通行ですから)の多いこと。そして抜け道として裏通りを走らないよう設置された道路標識。

この写真はのんびり走ってくださいな、と伝えています。一番上のサインは減速設備が道路に埋め込まれています、という意味です。硬質ゴムとステンレスでできた緩衝器。車もバイクもゴトンゴトンと乗り越えなければならないので運転手は仕方なく速度を落とします。

Tuesday, June 12, 2012

台北:梅雨前線停滞中です



久しく夏の雲が拝めていました。ところがここにきて前線が台湾本島にかかってきました。時期といえば時期なのですが、雨が降っても涼しさはともなわない。ジメジメムシムシ。雨季に入りました。南の都市・高雄では豪雨で町が冠水しているようです。これも毎年のこと。あと一月近く続くでしょうか。

夜、家で一人パソコンに向かっていても、キーボードを打つ指先がじっとりしてくるのがわかります。空調機を開けばいいと思うも、身体に合いません。すぐに鼻かぜ状態になってしまいます。そこで大家さんが用意した時代物・ビンテージ扇風機を使っています。高級電扇、雰囲気が出ていいものです。プレートには保護用のフィルムが貼ってあります。いつごろのものなんでしょうか、かなり薄汚れて見えます。しかし拭いても取れません。


Monday, June 11, 2012

台北: あまりの暑さに身体が軋みはじめたので酸梅湯の大瓶を購入...


さすがにこの蒸し暑さは厳しい。素食屋 ( Veggie Restaurant )に出向くも食が進まず、五穀ご飯も軽ーく盛り付け野菜ご飯、さっさと食べ終え夕涼みにと青空市場と並行する風通しのいい公園に。体中の水分はみんな汗になって消えてしまったらしくやたらとのどが渇きます。ではと公園脇の、お店の軒下をちょっくら貸してくださいな風の飲料屋さん。このところご厄介になっております。
と見ると列ができている。みな乾ききっているようです。みな大量に買い込んでいます。小カップ、中カップ、大カップ、そしてボトル詰め。品揃えは三種。酸梅湯に冬瓜茶、それともう一つはアタシ読めません。歴史があるお店らしい。こちらの友人が昔教えてくれました。
ジッちゃんとバッちゃん、二人が変わりばんこに店を仕切っている。でかいステンレスのケースから柄杓ではいよっとプラスティックのカップに移す。20元30元40元大瓶が100元。どの飲料も価格差はありません。量り売り。店の脇にはじか置きのプロパンガスコンロで砕いた梅をゴトゴト煮立てている。十分にエキスが出るとケースに移されるんでしょうね。煮立てては水を足していく。
そんな風景を眺めながら順番を待ちます。そして私。思わず「酸梅大瓶」と注文してしまいました。今は部屋の冷蔵庫に収まっています。日ごろはミネラルウォーター類を持ち歩いておりましたが、これからはギンギンに凍らせた酸梅湯にすることにします。



Saturday, June 9, 2012

台北:青空市場 運転の達人


今日の午後のこと。人と屋台と商品で溢れかえる青空市場、昼の一時過ぎれば荷物の片づけが始まる。店によっては車で運び出す。四メートルに満たない路地の両側に出店となれば人が歩けるのは二メートル弱。雑踏の中にある路地のT字路に入り込むバンが一台、ギュンとハンドル切ってバックでも一度ギュン、更にもう一度。車の先っぽ十センチ足らずに屋台の角が、五センチ足らずで別の屋台をやり過ごす。毎度のことなのだろうがお見事と言うより他にない。

路行くわれわれ路を塞がれ動くに動けず、そのさまを見ております。運転していたのはオネーサン、私の脇を通り過ごす際にアタシ、思わずにこっと笑って親指を立ててしまいました。彼女、微笑み返しで「謝謝!」。